- ホーム :ボルチモア・オリオールズ
- オープン:1992年
- デザイン:HOK Sport (現Populous)
- 収容人数:45,971人
観客席から手が届くほど近くて美しい天然芝のフィールド、左右非対称でカクカクしたフェンス形状、レンガと鉄骨を組み合わせたクラシックなデザイン。かつて「ボールパーク」と呼ばれた空間を現代に蘇らせたオリオールパークは、1990年代初頭においては全てが斬新だった。
1960~70年代に米国内で建設された多くの”スタジアム”は、無機質なコンクリートで覆われた外観、人工芝のフィールドに、場合によってはドームで密封されていた、いわゆる東京ドームのような「多目的施設」であった。
こういった個性の無い「箱モノ」たちに満足出来なかった当時の野球ファンや選手、球界関係者はたちまちオリオールパークの登場とともに、その魅力に取りつかれた。まさに現代版フィールド・オブ・ドリームスである。
こういった個性の無い「箱モノ」たちに満足出来なかった当時の野球ファンや選手、球界関係者はたちまちオリオールパークの登場とともに、その魅力に取りつかれた。まさに現代版フィールド・オブ・ドリームスである。
以降ココの成功にあやかろうと、同様の「ネオ・クラシック型ボールパーク(=古き良きボールパークの風情と最新設備を持ち合わせた野球専用球場)」建設ラッシュへと時代は大きくシフトして行く。。。
本案件で大成功をおさめた設計事務所の『HOK Sport社 (現Populous社)』は、そのブームの真っただ中で、いくつもの名作を生み出していくことになり、今や押しも押されぬ業界最大手へと成長を遂げた。今日のMLB全体の成功はHOK無くして成し遂げられなかったとさえ断言しても良いだろう。
球場のデザインはライト後方に隣接した元鉄道倉庫ビルを基調にまとめられ、球場の外壁やバックストップなど随所に同色調のレンガが施されている(倉庫内は改装され球団事務所やレストランが入居している)。
ただし、コンコースは現在主流のオープンタイプではなく、スタンドの後ろに隠れているタイプなのが唯一・最大の弱点といえる(神宮や甲子園と同じといえば分かりやすいか)。
バックスクリ―ン上部の『SUN紙』の電飾広告はオリオールズがヒットを打つとHが点灯し、エラーだとEが点灯するユニークな仕掛けになっているので、観戦の際には地味に注目されたい。
試合前には球場から徒歩圏内にあるベーブ・ルースの生家を見学すべし。だが、ボルチモアは全米でも有数に治安が悪い街なんで試合後はフラフラせずホテルに直帰するのが懸命である。
結局この球場の建設費がかさんだせいで当時の球団オーナーはチームの破産という状況に追い込まれ、開場当時オリオールズファンでごった返していた観客席は、今となってはフェンウェイパークでチケットを取りそこねたレッドソックスファンの溜まり場になっている。。。
と、開場から20年が経過した現在の状況は決してハッピーとは言えないかもしれないが、ココが球界に与えたインパクト、球場自体の美しさは今も色あせることは無く、本来はもっと上位ランクに位置するはずかもしれないが、文章の構成上10位に設定させてもらったことを関係各位にお詫びしたい。