2009年7月16日木曜日

南の島のモノガタリ

MLBのオールスターゲームにおいて、自身が大ファンのホワイトソックスのフィールドジャケットに身を包んだオバマ大統領と、彼の始球式のボールを受けた地元セントルイスの若きスター・プホールズいわく。






「あんまりいいボールじゃなかったらそのジャケットのせいだと言おうと思ったよ」

という冗談交じりのコメントを取材した某記者の記事は、思わず笑みがこぼれてしまうような素敵な内容だった。




さて、今回の始球式に登場したことをキッカケに、オバマがイチローのプレーに注目していたことや、広く野球に精通していることが報道されたが、さすが”ハワイ出身”と思わざるを得なかった。




そう、意外かもしれないが、太平洋のど真ん中に浮かぶ”常夏の島ハワイ”は、野球との関わりが非常に強いのだ。





歴史をさかのぼれば、現代野球の父と呼ばれている、ニューヨーク生まれのアレクサンダー・ジョイ・カートライトが、晩年をハワイで過ごしたことから始まる。




これはカートライトが野球のルールを制定してから、わずか3年後にNYからハワイに移住してきたため、メインランドとほぼタイムラグなしに、ハワイでも野球人気が広がったと伝えられている。




1926年には当時としては巨大な木造式のホノルル・スタジアムが建造されており、先住民、日系人、白人とそれぞれフランチャイズが作られ、活発なリーグ戦が島内で繰り広げられていたそうだ。(同スタジアムは70年代に取り壊され、現在跡地にはフットボール専用のアロハ・スタジアムが建っている。)






時の大スター、ベーブ・ルースやルー・ゲーリックといった面々もハワイと訪れ、地元ファンの前でプレーを見せ付けたそうだ。




そんな野球王国ハワイで産声を上げたウォーリー与那嶺こと、与那嶺要が戦後すぐに読売ジャイアンツで活躍したことも、特に日本球界に与えた影響という意味では大きいだろう。セーフティバントや、フックスライディングは彼がハワイから初めて日本に持ち込んだ画期的なプレーだった。








60年代から80年代終わりにかけては『ハワイ・アイランダーズ』という、マイナーリーグ・トリプルAのチームが活躍した。見よこの脱力系な、いなたいロゴを!






その後は一度ハワイから野球の火が消えかけたが、1993年より”伝説”の『ハワイ・ウインター・ベースボール(以下HWB)』の誕生をもって、再びハワイに野球が帰ってきた。





HWBの創始者であり、地元の名士ドゥエン・クリス氏が私財を投入して、島内の野球復興に貢献しようとしたのだ。尚、クリス氏は現在もサンフランシスコ・ジャイアンツの共同オーナーでもある。




同リーグは1993年~97年に開催され、一度は財政難に陥っていたものの、再び2006年~2008年も復活。日本プロ野球はもとより、韓国や、米マイナーリーグから、多くの有望な選手が武者修行の為に、冬のハワイを訪れ野球に明け暮れた。




特にHWB元年に日本からやってきた鈴木一郎という青年が、同リーグで初代MVPを獲得し、即同年日本に戻り、210本安打の日本記録を放ち、首位打者を獲得したエビソードは語り草となっている。





その後のイチローの活躍は言わずもがな。かくして南の島ハワイから始まった、彼のサクセスストーリーは昨日のMLBオールスターゲームまで途切れることなく続いている。




ちなみにイチローとほぼ同時期に、ジェイソン・ジオンビーやデレク・リーなんかのビックネームも同リーグで切磋琢磨していた。




さらに後に日本からHWBに派遣された若き日の、松井カズオ、岡島、井口、城島、田口、新庄らが、後にこぞってメジャーリーグに移籍していったのは、ハワイでの経験が少なからず影響しているハズだ。




そういや、ちょうどこの辺りの時期に野茂が海を渡っている。





90年代にはオアフ島、カウアイ島、ハワイ島、マウイ島にそれぞれフランチャイズを構えたが、2006年には効率性アップのためか、全4チームがオアフ島に集められた。




その頃には確か、巨人から亀井や、辻内なんかも参加していたな。亀井はその後ブレイクし、辻内はそのまま日の目を見ないままだが。




結局一度は復活したHWBも残念ながら、今年からまた休止状態となっており、メジャーリーグの利便性が優先されたのか、ウインターリーグ自体がアリゾナに移転されることが既に正式決定している。




果たして、また南の島に野球が戻ってくる日はあるのだろうか。。。




さて、最後に今は無き、HWBの個性的なチームロゴを紹介しよう。どれもハワイならではのユルさというか、常夏っぽい色使いが、メインランドには絶対ないだろうという独特のセンスを持つ。









海ガメがバット持って構えてるキャラなんて、恐らくハワイ以外では考えられまい。




各チームのTシャツとか正直かなり欲しいのだが、もはや現地でも購入することが出来ず、唯一オンライン上で商品を閲覧できるが、ちゃんとデリバリーされるか怖いので、1年以上も躊躇しているのだ。。。








先のオバマも地元、ホノルル・ビーチボーイズのジャケットでも着て始球式に臨んでいたら、僕もさぞ萌えたのだが。

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