2009年9月15日火曜日

海を隔てた野球大国

昨年まで行われていた『アジアカップ』はスポンサーのドタキャンにより大赤字のまま開催された昨年の大会を最後に、遂に今年消滅した。(詳しくは昨年の観戦記を!)



代わりに『日韓クラブチャンピオンシップ』なる、日韓2カ国だけで戦う試合が11月に行われるらしい。



とはいえ、まだスポンサーのメドも立っておらず、1試合のみで、会場も長崎(ビックNスタジアム)という、かなり経費削減が意識されたようなイベントとなっている。



台湾もやる気あるらしいのに、なんかハブられちゃった感じがして、残念な気がする。アジアシリーズ自体も当初は各国持ち回りで開催するというような理念だったと記憶してるが。。。あの崇高な理念はどこにいってしまったのだろう。長崎を否定するわけじゃないが、開催地はソウルや台北でもよかったのでは。



まあ、どれくらいの注目がその『日韓クラブ~』に注がれるかは分からないが、いずれにしろ近年韓国の野球の存在感が、日本において高まっていることは間違いないと思う。



06年のWBCから、北京での惨敗、昨春のWBCでの激闘など、彼らの野球は立て続けに我々日本人にも強烈なインパクトを残してくれた。



今日はそんな韓国の野球についてハナシを進めてみたい。




もともと野球熱の高かったとされている韓国でも、実際プロ野球リーグが誕生したのは、1982年のことだから、つい最近である。



しかし、歴史の浅さは関係なく、以降素晴らしい選手が何人も日本にやってきてプレーをした(ほとんどピッチャーだけど)。



中でも個人的にはソン・ドンヨルの球は印象的だった。温和そうな表情と裏腹に、あの剛球とスライダーでマウンド上で圧倒的な存在感だったな。全盛期の彼なら間違いなくメジャーで通用した。と思う。キャラの濃いサムソン・リーや、韓国版イチロー?と呼ばれていたイ・ジョンボムもいて、当時の中日はコリアンパワー全開だったと記憶している。

巨人は90年代中盤から、チョ・ソンミン、チョ・ミンテ、チョ・ミンチョルと、”チョ三兄弟”がいずれも不発に終わっている。



ここぞとばかりに大枚をはたいて獲得した”ライオン・キング”こと、スンちゃんもこのまま終わってしまうのだろうか・・・人柄はすごく良いと評判なのだが。(ライオン・キングは以前所属していた「サムスン・ライオンズ」から来てる。)


しかしスンちゃんのお陰で、韓国には巨人戦の中継が全試合行われるようになったらしく、近年巨人やプロ野球の人気が高まったと聞く。



要は、メジャーで活躍するイチローや松井の活躍を、日本人がNHK-BSで観戦しているのと似たような現象だろう。




今や韓国からのTV放映権料は読売、巨人、日テレにとって非常に重要な収入源となっているらしく、これをアテにしている球団サイドは、調子の上がらないスンちゃんの扱いがますます難しくなると、週刊誌でも度々取りざたされている。(しかし相変わらず嫁はかわいい。)




これもヤンキース、松井、読売の関係と似てるよね。相変わらずめんどくさい球団だ。



一方、韓国のプロ野球は長らく外国人選手の登録に関して閉鎖的な制度を設けていた為、あまり日本から選手が流入するということは無かったが、新浦(元々韓国人だが)や、入来(兄)の活躍などで、徐々に日本人選手が韓国でプレーするケースができてきた。





最近では高津や、門倉の韓国プロ野球への移籍がニュースになった。今後もこういったケースが増えるだろう。工藤もありえるよね。ちなみにあの、ペタジーニも今もLGツインズの主力として猛打を誇ってるらしい。



さて、韓国人選手がメジャーリーグで残した印象もまた、大きい。

今でこそチェ・ヒソプ、チュ・シンス、などメジャーのロースターに名を連ねるバッターもポツポツ出てきたが、やはりパク・チャンホだろう。



パクは実は野茂より先に海を渡っており、本当の意味での”アジア人メジャーリーガーのパイオニア”は彼なのかもしれない。



ただ、実際メジャーで活躍した年度が野茂の方が1年だけ早かっただけに、野茂の後追い的な印象をもたれている方もいるかと思うが、実際はそうではない。



様々なプレッシャーや孤独に耐え、今日まで120以上の勝利を積み重ねてきた。(尚、メジャーでの勝利数は野茂が123勝109敗、パクは120勝95敗と完全に互角。)



往年の90マイル後半の速球は無いものの、90マイル前後のシンカー系ツーシームを駆使して、今季もフィラデルフィアに移籍し、メジャーのマウンドに立っている。


一時期のキム・ビョンヒョンもすごかった。アンダースローから90マイル後半のファストボールと、浮き上がるようなスライダーを武器に、ダイアモンドバックスでワールドシリーズ出場してたな。(ちなみにランディ・ジョンソンと、カート・シリングがMVPをW受賞した年。)





でもキムはWBCで福留にHR打たれたり、ボンズに715号を献上したりと、大事なところで打たれてイカっている姿が印象深い。

キムの攻撃的な性格は常にチームメイトや幹部との確執を生み、度重なるトレードを経て引退した。中でもボストン時代に罵倒された自軍ファンに中指を立てて応えたエピソードはあまりにも有名。



パクも送りバントして、1塁ベース上でタッチしたピッチャーに飛び蹴りを食らわしたりと、何かと彼らの武勇伝には事欠かない。(ここまでアメリカ人と真っ向やりあった日本人選手は、、、いない。)






ファンに向かってツバをはいた伊良部を除き、比較的礼儀正しい日本人選手では考えられない闘争心を彼らは持ち合わせていた。



まあ、彼らのそういった姿に賛否両論はあるかも知れないが、国際大会で見せる異様な強さもまた、特筆すべき点である。



みなさんもお気づきのとおり、韓国の野球(まあ野球に限らずスポーツ全般だが)の、国際試合で見せるあの鬼気迫る気合と、集中力はなんだろうと、しばしば考えさせられると思うが、なにより「兵役」の存在は大きいといわれている。



そうだよね、青春真っ盛りに2年も軍隊入りたくないよね。ご存知の通り、韓国では国際大会で優秀な成績を収めたチームには「兵役免除」の特権が与えられる。



でも最近は海外に飛び出して、向こうで住民件取得して、二度と韓国に戻れないというリスクを背負いながら、兵役バックレるスポーツ選手が続出してて、大きな問題になってるらしい。いわば亡命ですな。



兵役ってそんなつらいんだね。



でもだからこそモチベートされる部分はあるのだね。きっと。




いずれにしろ、近くて遠い野球大国、似ていて非なるプレースタイルの違いに、これからも目が離せない。また近い将来、日本のプロ野球やメジャーリーグを席巻する韓国人プレーヤーが現れるに違いないのだから。

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