2008年5月2日金曜日

球界の至宝 (その2)

ダウンタウンから球場に向かうと、目の前に大きくそびえるレンガ造りの巨大な建物。













これはB&O(ボルチモア-オハイオ)鉄道倉庫跡。一見かなり年季の入った建物だが、今はスッカリ改装され、中には球団事務所や、レストラン、バー、チームストア等が軒を連ねている。まあ、横浜の赤レンガ倉庫を相当スケールアップさせたものと想像いただきたい。




横から見るとこんな感じで、球場との間には通りがあるのだが、建物の屋上には照明が取り付けられており、まあ球場の一部と化している。














球場の全てがこのレンガ造りの建物ありきで設計されたと言われ、球場の随所にレンガが施され雰囲気を調和させるような仕掛けがなされている。













今ではスッカリ『定番』となった最新鋭の設備と、古き良き時代のボールパークの名残を見事に共存させたネオ・クラシック調のボールパーク。詳細はコチラでおさらい頂きたいが、まさにココはその先駆け。



左右非対称のフィールド、カクカクして高さもイレギュラーな外野フェンス、レンガ造りのバックネット、これら全てはかつてのボールパークからインスピレーションを受けたデザインであったが、逆に1992年には全てが新鮮だった。













段々畑のような、ブルペン。














バックスクリーン上部にある、新聞社『THE SUN』の広告はヒットが出るとHが点滅し、エラーが出るとEが点滅するというユニークな仕組み。













開場当時はカル・リプケンの人気も相まって、多くの客が押しよせた。「球場を建てれば集客が伸びる」という一つの神話を作り出し、以降メジャーリーグにおける未曾有の新球場建設ラッシュのキッカケとなった。













このオリオール・パークを手がけた、ネオ・クラシックブームの火付け役、HOKは本作で数々の賞を受賞し、今や押しも押されぬ業界最大手に成長。




クリーブランド、シンシナティ、ピッツバーグ、デトロイト、サンフランシスコ、フィラデルフィア、セントルイス、ワシントン、来年完成予定のヤンキース、メッツの両新球場等々・・・HOKの手がけた案件は枚挙に暇が無い。しかもいずれもマンネリすることなく秀逸なデザイン。




近年過去最高の観客入場者数を記録し続けているメジャーリーグだが、これはHOKの功績によるものも大きいとデカは思うのだ。













褒めてばかりでは面白くないという訳で、強いてココの欠点を探すなら。。。



コンコースがオープンタイプではないのだ!以前も話したが、現在の球場は360°コンコースからフィールドを望めることができるのが常識になっているが、ココはスタンドの裏(下)にコンコースが設計されている。(横浜スタジアムや神宮球場のような感じ。)




今やHOKの作品はもちろんのこと、他の球場でもオープン・コンコースはスタンダードだが、何故かココは違う。(前年に手がけたシカゴのUSセルラー・フィールドはオープンコンコーススタイルなのに、時代に逆行したようで摩訶不思議。




現在は、一時のブームも今は昔。チームの低迷・スター選手の不在により、若干客足も遠のいていると聞く。しかしながら開場から16年経った今も、オリオール・パークの魅力、そして野球界に与えた衝撃は決して色あせることはなく、今後も語り継がれていくハズ。

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