どうも先週末から体調が悪く、禁酒・禁欲の生活を続けております。お陰で珍しく3日連続で続いた本企画も、今日でひとまず最終回。明日は久々に飲もうかの。
さて、しばらく不遇の時代を迎えていたMLBとその球場たちは、90年代に入ると人気と客足も徐々に息を吹き返すことになる。94年のストの悪影響はあったものの、マグワイヤとソーサのHRレースを筆頭に多くの話題に恵まれたことは否定しない。
しかしここではハード面の改革、つまり新球場の建設ラッシュと、カリスマ設計事務所HOKの登場について触れていきたいと思う。このHOKという会社、一般の人はあまり馴染みが無いだろうが、その作品集は既に記憶の片隅にインプットされているはずだ。
例えば、先のワールドシリーズが行われたデンバーのクアーズ・フィールド。07’オールスターが行われたサンフランシスコのAT&Tパーク。リーグチャンピョンシップで松坂が熱投したクリーブランドのジェイコブス・フィールド。桑田がスシボールを披露したピッツバーグのPNCパーク。
などなど、実に現役30球場のうち、12球場がHOKの作品であり、向こう3年以内にオープンが予定されている5球場のうち、ヤンキース、メッツ、ツインズ、ナショナルズの4球場は既にHOKに発注がかかっている。
もちろんメジャーだけでなく、例えば以前触れたシングルAの、SIヤンキース・RCBボールパークもHOKの作品。
既にHOK飽和状態なのに、それでも彼らに依頼してしまうその魅力とは一体何なのか?以前も述べたが、下記の3つの鉄則はイコールHOK球場作りの鉄則なのだ。
① 屋根無し・天然芝であること。
② 新古典スタイル(ネオクラシックスタイル)を取り入れていること。
③ 地元地域の特性や景色を、球場の作りに取り入れていること。
①は言うまでもない、誰しもが望んでいたことだろう。
②は古き良き時代のボールパークの面影を残した、最新鋭の設備を搭載した球場を作ろうというコンセプト。左右非対称のフィールドが最も良い例で、フェンウェイ、リグレーのようなイビツで入り組んだような外野フェンスの形状を作ったりする。
またスコアボードを手動にしたり、バックネット裏を赤レンガで造ったりと、非合理的だが古き良き時代を思わせるような仕掛けをあえて盛り込んでいく。NIKITA風に言えば、あえての脱力系リッチである。 (写真左はボルチモアの旧駅舎が球場の一部になってしまったケース。右はジェイコブスの左右非対称フェンス)
ちなみにメッツの新球場(シティ・フィールド)の設計計画図を見たときに、かつて存在したエベッツ・フィールドの概観を取り入れていると確信したのはデカだけでは無いだろう。
③はケーススタディで。例えば、ボンズのスプラッシュヒットで有名なAT&Tパークはあえてボールが海に突き刺さるような設計を施し、PNCパークの絵葉書のような景色はおなじみだろう(写真左)。SIYのNY摩天楼が外野フェンス越しに望める景色なんてのは確信犯である。つまり景色や立地条件までも球場の一部、または話題に変えてしまうのである。
恐るべし。
とりあえずアウトラインの説明は済んだので、あとはマイペースに気が向いたら球場ごとの捜査記録をアップしていこう。
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