2009年6月25日木曜日

梅雨の雑談 (その2)

映画『2番目のキス』で熱狂的レッドソックスファンの彼氏を持つヒロインを演じたドリュー・バリモアしかり、その彼氏役を演じたコメディアンの、ジミー・ファロンしかり、彼らの共通点は、、、






”アイルランド系アメリカ人”だということだ。



もともとアメリカ人の15~20%はアイルランド人のルーツを持つと言われているが、ボストンを中心とする、”ニューイングランド”と呼ばれる地域(コネチカット、ニューハンプシャー、バーモンド、メイン、ロードアイランド、マサチューセッツ)には特にその割合が多い。と言われている。



アイリッシュ気質で血気盛んなレッドソックスファンのステレオタイプを描く為に、アイルランド系のバリモアとファロンを起用したことは想像に難くない。(あくまで個人的な推論ではあるが。。。)



一方レッドソックスのマーケティング手法も、アイルランド系アメリカ人の絆やアイデンティティを刺激するようなヤリクチが目立つ。



St.Patrick Dayを初めとするイベントはもとより(→お馴染み、緑のユニフォームで試合するやつ)、チームのオフィシャルストアーには本来のチームカラーが”赤”だということを忘れてしまうほど、緑やシャムロック(クローバー)をモチーフにしたグッズがところ狭しと並べられている。









(緑とシャムロックはアイルランドのシンボルである。)



また近年、全米中にバラバラに散らばっていたレッドソックス傘下のマイナーチームをほぼニューイングランド、およびその近郊に集結させており、ファンの囲い込みも徹底している。



生え抜きのユーキリス、パペルボン、ペドロイア、レスター等が、順調に成長し、メジャーで大活躍しているので、マイナー時代から彼らを知っている地元ファンの愛着が沸くのは当然だ。



同じくボストンを本拠地とする、NBAのセルティクスはアイルランド人の祖先といわれている、ケルト人を意味するCelt = Celticをまんまチーム名にしているし、NFLのニューイングランド・ペイトリオッツも敢えてボストンを名乗らずに、ニューイングランドを名乗っており、チーム名にもPatriot=国の先祖・愛国者と命名しているとこあたり、狙いが確信犯的である。







まさにアイルランドにルーツを持つ、もしくは関係性のあるファン達をレペゼンしようとしているのだろう。多分。



ボストンが必ずしも全米屈指の大都市でないにもかかわらず、各チームに熱狂的なファンが全米中に広がっている理由は、きっとこの辺りにあるのではと推測する。



ちなみに何故『Sweet Caroline』がフェンウェイ・パークで熱唱されるか?ファンのほとんどは理由を知らないそうだが、ボストンの英雄、ジョン・F・ケネディおよび、ケネディ家をトリビュートしているのだと推測するのは少々強引過ぎるだろうか。





(地元の盟主ケネディ家出身のJFKはアイルランド系アメリカ人初の大統領であり、Sweet CarolineはJFKの長女のキャロライン・ケネディをイメージして作曲された。と、作者のNeil Diamond自身が語っている。)


余談だが、2007年にブレイクしたパペルボンダンスも完全なアイリッシュダンスのステップを踏んでおり、ファンのココロを掴んだ理由は”アイルランド”というキーワードが重要だったのかも知れない。






一方で、、、



元来黒人メジャーリーガー、ひいては”有色人種”の選手獲得に、メジャーで最も最後まで踏み切れなかったザ・保守のレッドソックスが、今では最も多くの日本人選手を抱えるチームに変貌したことも特筆すべき点だ。



近年レッドソックスが提言している、『Red Sox Nation』(レッドソックス国家)は、巧みなマーケティング戦略によって、もはやニューイングランドや、その他全米各地に広がるアイルランド系アメリカ人だけに留まらず、遥か極東の地までその影響力を及ばそうとしているのかと、つい思いを巡らせてしまう。

2009年6月22日月曜日

梅雨の雑談 (その1)

梅雨空が続き、イマイチテンションのあがらない日々は家でゴロゴロDVDということで、、、



ようやく見ました。。。





『2番目のキス』 (※洋題は『Fever Pitch』)




熱狂的なレッドソックスファンの彼氏に、ドリュー・バリモア演じる彼女が、野球と私とどっちが大切なの!?的な感じで迫っていく本作は、まあ一見普通のラブコメ映画なワケであるが、




いかんせん”バンビーノの呪い”を解いた年のレッドソックスの、86年ぶりのワールドチャンピオンへの道のりをドキュメンタリー風なタッチで描いている点や、ジョニー・デーモン、ジェイソン・バリテック等々のスタープレイヤーが実際劇中に登場する様はファンならずとも興奮を禁じえない。






他にも躍動するペドロ・マルチネス、マニー・ラミレス、カート・シリング(かの血染めのソックス)等の当時の実際の試合映像が使用されており、0勝3敗から4連勝して大逆転したヤンキースとのリーグチャンピオンシップシリーズの興奮も刻銘に描かれている。




映画が製作されたのが2004年のシーズン中で、封切が2005年の春だったので、まさにレッドソックスファンにとっての奇跡の04年のプレーオフの興奮が実にタイムリーな感覚で伝わってくる。(タイミングはタマタマらしい。)




また、普段のTV中継とは違った雰囲気のフェンウェイ・パークの姿を見れることや、ユニークなレッドソックスファンの面々は(多分)リアルで、お約束の”Sweet Caroline”がサントラとして流れるのも嬉しい。



さて、ココからハナシが若干脱線するが、劇中に気になるフレーズが出てきたので、ついでに取り上げたい。




かの有名な”バンビーノの呪い”について、レッドソックスのファン同士がやり取りするシーン。






「当時のオーナーは三流の劇団を存続させる為にベーブ・ルースをヤンキースに売っちまったんだ。」




そう、かつてレッドソックスはハリー・フレージーというブロードウェイでミュージカルを生業としていた、オーナーによって所有されており、彼が本業の劇団運営に困り、当時売り出し中だったベーブ・ルースをCashでヤンキースに売ってしまった、、、と言い伝えられている。





そんなフレージーとルースの、僕が大好きなやり取りを紹介しよう。




フレージーは当時のブロードウェイでトップ俳優だったジョン・バリモア(いわずもがな、ドリュー・バリモアの祖父である)を引き合いに出し、高給を要求してくるルースに、




「おい、あのジョン・バリモアだってそんな高給は手にしていないぞ」




とはねつけると、ルースは、




「だったらそのバリモアって奴を2死満塁の場面で打席に立たせてみたらどうなんだっ!!」




と激怒したらしい。




以降のルースと、ヤンキース、レッドソックス、の運命はご承知の通り。




ルースがヤンキースに移籍しておよそ10年、ついには当時のフーバー合衆国大統領よりも高給を手にし、




「まあ、俺の方があいつよりいい仕事をしたからな」




と、うそぶいたエピソードはあまりにも有名である。




、、、もとい、フレージーに引き合いに出されたジョン・バリモアは完全に第三者といば第三者だが、孫のドリュー・バリモアが本作のヒロインを演じたことは偶然か、はたまた計算されつくしたキャスティングだったのか、それはわからない。。。




ただ、バリモアを起用したもう一つ大きな要素と”推測”される点がある。




その辺はまた次回にしたい。。。

2009年6月18日木曜日

期待感。

今年の9月に『MLB cafe TOKYO』なる、MLB初のオフィシャルレストラン・カフェが恵比寿(ガーデンプレイス側)に誕生するらしい。



当初この情報を聞いた時は、しょぼくてちっちゃいファストフード的なトコロかと思ったが、意外とデカいらしい。

店舗は2棟に別れ、A棟は1階がカフェ、2階がメインダイニング、3階がVIPフロアの、3フロアで構成され、B棟はブライダルチャペルと、グッズショップで構成されるらしい。



さらに両棟の間にはオープンガーデンエリアが展開される予定とのこと。



MLBの映像はもちろん、ボールパークの定番メニューや、30球団の地域の名産素材を使った料理も用意されるらしい。




ここまで聞いたら多少は期待せずにはいられないな。


尚、運営は『news DELI』ブランドのカフェ等を持ってる会社らしい。


オープン予定日は9月17日。

雰囲気さえ良ければ、僕の29歳の誕生日はココでパーリーだっ。

2009年6月15日月曜日

緑の怪物 (その3)

試合開始間際ともなると、満員に膨れ上がったスタンドは、真っ赤に染まる。




想像に難くないが、ファンのテンションは常に高く、狭い座席、コンコース、通路には人が溢れ返り、殺気さえ感じる。





しかしながらフェンウェイ・パークのノスタルジックな美しさが、雰囲気を決して殺伐とさせることはなく、場内には「ココにしか流れていない特別な空気」というものが存在する。







熱狂的なファンの歓声とブーイング、ホットドッグやビールの匂いが充満してる薄暗いコンコース、カクテル光線に照らされた芝の輝きと土の匂い、隣のファンと肩肘がぶつかってしまうほど狭い座席。






お世辞にも快適とは言えない観戦環境にもかかわらず、ファンはこの”空気感”を求めて、手に入りにくい高価なチケットを手に入れ、わざわざ球場まで足を運ぶのだろう。


これは同じく熱狂的なファンを持つカブスとリグリー・フィールドの雰囲気にほとんど似ているが、ちと違う点もある。



それは何かと考えたが、多分、過去5年で2回ワールドチャンピオンに輝いたレッドソックスと(2004年、2007年)、100年ソレから遠ざかっているカブスとの差かなとも感じた。




すっかり我がチームに対して”プライド”を取り戻したレッドソックスファンと、いまだ”自虐的な”カブスファンという構図は、少々乱暴かもしれないが、両チームの成績を見る限り、その観戦スタイルと気持ち的な余裕の差があるのではと感じた。




レッドソックスとて”バンビーノの呪い”が解けるまでは実に86年も要したわけだが、ファンの誰しもが「あの2004年で全てが変わった」と口を揃えて話す。




チームもビジネスチャンスと捉えたのか、ここぞとばかりに04年以降スイートルームやラウンジ席など、一見古き良きボールパークには似つかわない、いわゆる”今風のアッパーグレードのシート”を次々拡張・販売し(→主に法人客相手に)、経済的にも大きな成功を収めてきた。




以来、勝って→稼いで→良い選手を獲って(07年の松坂の巨額契約含む)→そしてまた勝つ、というチームの好転が04年以降始まった。




ただ一方で、球場のあちこちを歩くと、ちょっとレッドソックスの(商業的な)色気が出すぎてる感じがしなくも無い。ちとそんな気分にもなった。




いまだに広告を極限まで排除し、ショボい設備のスイートルームしか持たず、ガンコなまでに昔のスタイルを崩さないカブスとは、対照的である。




なんて難しい話しはさておき、隣に座ったギャルの過激なフリップに目を奪われつつ、7回はお決まりの『Take Me Out To The Ballpark』と、8回はココでの定番、『Sweet Caroline』の際には球場内のボルテージが最高潮に達する。




通ぶるなら「Oh Oh Oh~」と「So Good!」の掛け声もお忘れなきよう、予習いただきたい。








まあ、つべこべ言わずとも、赤レンガがお似合いのボストンの街並みに調和した、フェンウェイ・パークの優雅な佇まいと、心底レッドソックスを愛し、絶えず球場に足を運ぶファンの姿に触れられたことは、僕の野球人生の中でも、思い出深き経験として今後も記憶されていくだろう。




文中で少し触れたテッド・ウィリアムズや、Sweet Carolineのハナシはここでは書ききれない為、またいつか別の機会で取り上げられればと思う。

2009年6月10日水曜日

緑の怪物 (その2)

まだ試合開始2時間以上前だというのに、すでに球場の外はファンで溢れかえり、大道芸人やら、BBQやらで盛り上がりまくってる。





人ごみをすり抜けいよいよ場内に入ると、ウワサに違わぬ、グリーンモンスターの迫力、左右非対称極まり無い、気持ち悪い造りに圧倒される。シンメトリーな美しさを追求したリグリー・フィールドとはまさに正反対の趣である。





なぜここまでイビツな造りになったかは今更言うまでも無いが、要は昔のダウンタウンの限られた敷地(区画)に無理やり押し込んで球場を造ったから。周りを全て道路に囲まれたこの図を見ればそのワケが一目瞭然だろう。








早速グリーンモンスターによじ登り、球場を一望する。





球場のキャパが小さいあまり、観客動員が頭打ちになり、ヤケクソでグリーンモンスターの上に席を作ったら、あまりの人気で結果的にはプレミアチケットと化してしまった、”グリーンモンスターシート”。








壁の上にそそり立つだけに、相当狭くて怖いのかと思ったけど、実際は意外と通路や座席は余裕をもった設計になっており、かなり快適な観戦が期待できそう。





しかしこの球場、あまりにもレフト側のグリーンモンスターが有名になりすぎてしまったが、実際はライト側の形状の方が気持ち悪い。







これも知らなかったのだが、実はメジャーで使用されている球場の中で、ホームベースからフェンスまでの距離の”最短”と”最長”がここ、フェンウェイ・パークに共存しているらしい。





”最短”は当然グリーンモンスターがそびえるレフト側かと思っていたが、実はライトポールまでの距離のが短いらしい。事実調べてみると、グリーンモンスターのあるレフトポールまでは94.5mで、ライトポールまでは92mであった。





そしてその最短地点から、フェンスは鬼の湾曲をみせ、”最長”は同じくライト側の『ザ・トライアングル』と呼ばれている地帯で、最深部は128m。





これからはレフト側のグリーンモンスターだけでなく、ライト側にも注目して頂ければと思う。




尚、Fordの看板の、Dの文字の15席下くらいに、1席だけ緑の座席に混じって、赤に染められた座席があるが(見えないか)、これは往年のレジェンド、テッド・ウィリアムスが記録した、フェンウェイにおける球場内史上最長ホームランの落下地点である。




その距離実に153m。ドーピングなんて無かったであろう時代に、恐るべしパワーである。(テッド・ウィリアムズについては後日また機会を作って話したい。)




そうこうしているうちに、いよいよ試合が始まりそうだ。 





続く。。。

2009年6月8日月曜日

緑の怪物 (その1)

「パリにエッフェル塔があるように、ボストンにはフェンウェイ・パークがある。」




先代のコミスキー・パーク(現”USセルラー・フィールド”→シカゴ・ホワイトソックスの元本拠地)、が1990年にリタイアしてから現在まで”メジャー最古の球場”として親しまれている、ご存知フェンウェイ・パーク。





尚、旧コミスキーパークは1910年開場で、フェンウェイの2年先輩にあたる。コミスキーがリタイアした後は、1912年に開場したフェンウェイと同級生のタイガー・スタジアム(@デトロイト)と”メジャー最古”の呼び名を分け合っていたが、1999年にタイガー・スタジアムもリタイアすることになり、以降はフェンウェイが”単独メジャー最古”となった。






ご存知の通り、1990年に旧コミスキーがリタイアしてから、今日までの間にメジャーリーグでは未曾有の新球場建設ラッシュが起こったわけだが、その渦に巻き込まれたタイガー・スタジアム同様、これはフェンウェイとて例外ではなかったと聞く。




幾度となく新球場建てかえの議論が起こっては消え、起こっては消えの連続。毎度市民やファンの強烈な反対によって、ボイコットされたらしい。




結果、周りに流されることなく、”現球場の存続”という英断を下した関係者には、さすが古都ボストンならではの冷静なジャッジと、賞賛せざるを得ない。よくぞ今日までこの姿を残してくれたと。




ただし、他球団は「新たなファン層の拡大」、「観客動員の大幅アップ」を狙って新球場を建設という道を選んだのだが、ボストンや、シカゴのリグリー・フィールドにしても、すでに球場は常に超満員で、これ以上観客動員をアップする必要がなかったことは、球場の建てかえに”待った”をかけた大きな要因ではなかったのではと思う。




もともとレッドソックスにしろ、カブスにしろ、大量の熱狂的なファンがいるにも関らず、球場が古い為、キャパが小さく、その分チケットがプレミア化する。




だからますますファンは貴重なチケットを探し、手に入れ、球場に足を運びたくなり、例えばレッドソックスのチケット連続SOLD OUT記録など、偉大な記録も誕生した。これは古くて狭い球場のデメリットを逆手に取った巧みなマーケティングと言えよう。





これまで本ブログではオリオールズやマリナーズなど、新球場建設によって成功した球団の例を取り上げてきたが、”敢えて球場を残す”ことによって、今日の成功をつかんだと言える、レッドソックスやカブス。





少々前置きが長くなったが、今後数回に渡り、”メジャー最古の球場”こと、フェンウェイ・パークについて、カブスのリグリー・フィールドと一部比較なんかしながら、ハナシを進めていきたいと思う。

2009年6月1日月曜日

デカミシュラン (セーフコ・フィールド編)




今秋にでも、お坂東さんとサミュエル・L・ジャクソンさんがシアトルに行く機会があるかもしれないとのことで、ちょっとしたグルメ特集でも組んでみたいと思う。





こんな天気のいい日はビールに違いない。







以前もちょこっと話したが、シアトルは地ビール製造が盛んな地でもある。セーフコ・フィールドの中でも、珍しい銘柄に出会えるので、訪問の機会があれば是非お試し頂きたい。





『FAT TIRE』 『MAC & JACK』 『RED HOOK』 『SNOQALMIE』 『MANNY's』 『DROP TOP』 等々、驚くほど地ビールの種類は豊富である。









いずれもバドやミラーとは違い、色は赤黒く、ビターで重めのテイストが魅力だ。




ビールを買い込んだら、つまみで『GROUNDERS』のガーリックフライを手に入れたい。これも以前話したことがあるが、言わずと知れたセーフコ名物である。





見よこの行列。







できればフライの上にチキンテンダーを乗っけて、ココロ行くまでジャンクを楽しみたい。





ゴロゴロでギトギトのガーリックがビールとのバツグンの相性を約束する。





シアトル・ダウンタウンにあるクラムチャウダーの老舗、『IVAR's』が出店しているのも嬉しい。





尚、同店のチャウダーはシアトルから、オリンピック半島に向かうフェリーの中でも食せるので、そちらに観光の予定がある方は要チェケラ。





お腹とお財布に余裕があれば、『ICHIROLL』も試したい。







ただ、これだけチープな握りとカリフォルにゃんなロールで20ドルくらい取られるので、気をつけたい。名物には間違い無いのだが。。。”Bento Box”なる、TERIYAKIとSUSHIがセットになったバージョンもあるが、いずれにしろ、ちと高い。






なんてくだらない写真ばっか撮っていたら、最後に意外な人物にバッタリ遭遇したので、写真を載せておこう。






ウワサ通り、異国の地でかなり日本語に飢えている様子だった。