2009年8月24日月曜日

金の卵たち (その2)

何故か毎年登場する「10年に一度の逸材」という触れ込みを越えて、「史上最高」と呼び声が高いスティーブン・ストラスバーグが、ワシントン・ナショナルズから1巡目1位(全体1位)の指名を受けた後、先週”文字通り”ルーキー史上最高額で契約したというNewsは日本でも多少話題になった。




代理人は悪名高き、あのスコット・ボラスであるが、当初5,000万ドルを要求していたとウワサもあったが、結局は1,500万ドル程度で落ち着いた。




尚、これまでのルーキーの契約金最高額はマーク・プライアーの1,050万ドル、その次はヤンキースで活躍中のマーク・テシアラの950万ドル。



(ご存知テシアラは期待に応えて成長を続けているが、プライアーはカブス入団直後にブレイクしたものの、一発屋で終わりそうである。)



以前にも何度か触れたが、メジャーリーグのドラフトって、抽選とか、逆指名とか無く、完全ウェーバー制のため、前年度下位のチームから指名権があるため、低迷を続けるナショナルズに権利があった。
(尚、次に指名権を持っていたのがマリナーズ。)



ところが最近、大学生や高校生も代理人をつけて球団と契約交渉するもんだから、ボラスのような法外に高い契約金を要求する選手が多発して、問題になったりもしてるのだ。



契約金出せないんだったら、(高校生の場合は)大学に進学するか、来年まで待って、カネの有るチームからの指名を待つからいいよ、見たいな感じで、トッププロスペクト(金の卵)は、らつ腕代理人から知恵を与えられ、かなり強気な態度をとっている。



基本メジャーにはルーキーの契約金に関する規定が無い為、どんどん金額がつり上がってしまっている。



そうなると、下位のチームってのは基本カネが無くて、低迷してるのだから、折角指名権があるのに、獲りたい金の卵の代理人がボラス(もしくはその類の代理人)だったりすると、法外な契約金要求されるから、じゃあ指名見送ろう見たいなケースが頻発しているのだ。



つまり、本来戦力の均衡化を目的にウェーバーにしているのに、結果的に資金力の有るチームが良い選手を取れる、みたいな矛盾が起きてしまっている。



それだけに、今回カネの無いナショナルズが、史上最高の契約金を払ってストラスバーグを獲得したことは、球団の威信、存続、をかけて望んだ交渉だったと言えよう。



いくらカネが無いからといって、交渉が決裂してストラスバーグの獲得を見送れば、ファンの失望は計り知れないほど大きなものになってしまう恐れがあったハズ。



一方で、いったん大枚をはたいて契約したら、ファンは勝手に1年目からメジャー昇格、ローテ入り、オールスター選出、17、8勝くらい、、、は当たり前みたいな夢見ちゃってるかもしれない。(冷静に考えるとメジャーに上がるだけでも大変なことなのに。)



メジャーのドラフトだと、1チーム50巡目(50人)まで指名するため、30チームで、毎年約1,500人のルーキーが誕生する。


その中でも”1巡目1位”の栄誉に輝く選手は1年に1人だけ。


そこからスターに上り詰めた、ケン・グリフィーJr.、チッパー・ジョーンズ、A-ロッド、ジョー・マウアー(イチローと首位打者争い中)などいる一方で、期待に応えられずユニフォームを脱いでいった選手も多い。





ちなみにストラスバーグは高校を卒業した3年前にもドラフトに掛かるチャンスはあったが、例によって約1,500人が指名されたドラフトで、どのチームも彼を指名することは無かった。


それはおろか、大学進学時に奨学金を提示したのも、彼の出身校である、サンディエゴ州立大学のみであった。




尚、同校の野球部監督は、あの殿堂入り安打製造機、トニー・グウィンであり、恩師のグウィンいわく、入学したてのストラスバーグは「ただの肥満児のでくの坊」だったらしい。そこから3年間で、ダイエットと練習を重ね、164キロ右腕まで成長した。と、彼は雑誌のインタビューで回想していた。




しかし、ただの肥満児のでくの坊がダイエットしただけで164キロ投げられるとは思わないが。。。さすが殿堂入り選手の言葉は違う。



まあ、いずれにしろ、今大きな変革を迎えているアメリカという国、奇しくも首都ワシントンで、オバマと同様に、明るい将来を期待されているハタチそこそこの若者から目が離せない。



今はただYou Tubeに投稿されているストラスバーグの粗い画像を目を凝らして覗くしか、彼の実力を垣間見る術はないが。。。とりあえずスライダーがウネリまくっている。



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