打者がOPSで評価されるのであれば、当然「被OPS」の低い投手が評価されるわけである。
ちなみに、
被打率.325 /被出塁率.401 /被長打率.534 /被OPS.935
これは2009年の松坂の成績であり、この数字を見る限り、昨年松坂と対戦した打者が”総じてオールスター級”の力を発揮したことになる。
いかに彼が不調だったかを物語っている数字である。
さてここで、従来までの投手の能力を測る指標を再考しよう。
とりわけ「勝敗」や「防御率」に関しては、リリーフピッチャーの出来や、味方打線の援護の有無等、なかなか投手の自己責任の部分が見えにくい記録となっていた。
そこで提案されたのが「WHIP」という指標である。(WHIPとは”Walks plus Hits per Inning Pitched” の略。)
つまり、1イニングに何個、四球and / orヒットを許したか→『投手の自己責任において出塁を許した数』を問うものである。
近年米国において「WHIP」は、勝敗、防御率と共に投手指標の”新御三家”として認知されている。「防御率」が投球の”結果”を表しているのに対し、「WHIP」は投球の”内容”を表す指標になっているのだ。
じゃあどれくらいだったらすごいのかという基準だが、およそ、
先発投手の場合は
1.4を下回ったら一流
1.2を下回ったらオールスター級
1.0を下回ったら球界を代表する先発投手
救援投手の場合は
1.2を下回ったら一流
1.0を下回ったらオールスター級
0.8を下回ったら球界を代表する救援投手
ということになる。
尚、2009年のメジャーリーグ全体の平均値は 1.390なので、およそメジャーの投手は1イニングに1.4人の出塁を許している(エラー、死球を除き)ということになる。
<2009年 先発投手ベスト3>
1. ダン・ヘイレン(ダイアモンドバックス) 1.003
2. クリス・カーペンター(カージナルス) 1.007
3. ザック・グリンキー(ロイヤルズ) 1.073
<2009年 救援投手ベスト3>
1. ダン・ウィーラー(レイズ) 0.867
3. マリアーノ・リベラ(ヤンキース) 0.905
尚、歴代のシーズンベストは2000年、全盛期のペドロ・マルチネスが記録しているが、先発投手としては驚異の0.737である。
ペドロに関しては17年に及ぶキャリア通算WHIPも、1.05と驚異的で、いかに打たれにくく、かつ四球を出さない投手であったかが、お分かり頂けるだろう。
WHIPの測定に際して、投手の責任ではないエラーは記録に含まれないが、死球(デットボール)もまた投手の責任として問われないのはなぜか。
メジャーの場合死球は、打者や相手チームへの報復として投じられるケースが多いため、必ずしも投手の責任ではないと認知されている。と個人的に推測するのだが、真意はどうだろう。
またWHIPとは異なる指標だが、最近先発投手の成績を計る指標の一つにQS(Quality Start/クオリティスタート)があげられる。これは非常に簡単で、先発投手が6イニングを投げ切り、自責点3以内に抑えた場合、QSが記録される。
まあ、客観的に先発投手は6回3自責点以内が、”試合を作った”と評価されるというラインということだろう。
QSを記録したにもかかわらず、打線の援護がない、もしくは救援投手陣が撃ち込まれて勝ち星を逃すことをTough Loss(不運な負け)といい、逆にQSを記録できなかったにもかかわらず、タナボタ勝利を手にした場合はCheap Win(安っぽい勝ち)と言われる。
QSは先発投手のみに与えられる評価指標だが、最近は日本でも契約更改の際に、思うように勝ち星が伸びなかった先発投手がQSを主張する場合もあるので、注目されたい。
ちょいもー続く。。。