圏外/シティ・フィールド
- ホーム :ニューヨーク・メッツ
- オープン:2009年
- デザイン:Populous (旧HOK Sport)
- 収容人数:41,922人
そもそも金融バブルの真っただ中に新球場プロジェクトをぶち上げ、羽振りよくシティバンクがネーミングライツを取得したまでは良かったが、開場半年前に起きたリーマンショックがそもそもケチのつき始め。シティに多額の公的資金が注入されると、「納税者フィールドにしろよ!」という辛辣な世論が飛び交い、挙句の果てにはオーナーが巨額詐欺事件に巻き込まれるというトラブル。大枚をはたいて獲得した大物も次々と不良債権化していき、かくして新球場バブルもあっけなく崩壊した。
エクステリアはかつてブルックリンに存在した、「エベッツ・フィールド」を現代の世に甦らせた秀作で、コレに関しては正直拍手を送らざるを得ない。ただし場内の演出は過度にブルックリン・ドジャースへのトリビュートが意識されているけど、エベッツしかり、ジャッキー・ロビンソンしかり、そもそもあなたの球団じゃないでしょ?と突っ込みたくなる(ドジャースとジャイアンツの西海岸移転がメッツ球団誕生のきっかけとなったのは間違いないのだが)。
フィールドやフェンス形状も必要以上に奇をてらったデザインが施されており、はっきり言ってクドい。先代のシェイ・スタジアムの方が長閑でメッツらしかったと言ったら可哀そうだろうか。場内で最も賑わっているのはセンター後方にあるNYハンバーガーの人気店「SHACK SHACK」という皮肉。近隣のラ・ガーディアを発着する飛行機は相変わらずノイジーで、コレはシェイ時代と変わらない。
圏外/シチズンズバンク・パーク
- ホーム :フィラデルフィア・フィリーズ
- オープン:2004年
- デザイン:HOK Sport(現Populous)
- 収容人数:43,651人
古都フィラデルフィアの風情をそのまま生かしたネオクラシック調デザイン、美しい天然芝、カクテル光線、マスコットのフィリー・ファナティックが、全米一ブーイングが執拗と言われているフィリーズファンを盛り上げ、コンコースからは地元名物「フィリー・チーズステーキ」の香ばしい匂いが充満する。
完全に期待通りの空間なハズなのになぜだろう。。。球界関係者の間でも屈指の好球場と専ら評判だが、個人的には期待が大きすぎたのか、氾濫するHOK作品に飽きてしまったのか、驚くほど良いと感じられなかった球場。コンコースが異様にチープに感じてしまったんだな。ユニークな点と言えば、試合中にダイヤモンドクラブのレストラン内からダグアウト裏のバッティングゲージが覗けるシカケになっており、試合そっちのけでトーミの打撃練習にくぎ付けになっていたわ。
お目当てのチーズステーキも、球場の売店で作り置かれているものはパンが固いので性に合わず、ダウンタウンに帰る途中の2大有名店、「PAT'S」か「GENO's」でテイクアウトした方がおいしいで。ちなみに24時間営業なんで試合後でもご安心を。
圏外/ロジャース・センター
- ホーム :トロント・ブルージェイズ
- オープン:1989年
- デザイン:Robbie Young + Wright
- 収容人数:49,260人
世界初の開閉式球場として、球界は元より建築業界をも震撼させた(らしい)ユニーク物件。開場当時は1992-93年の2年連続ワールドチャンピオンなど、ブルージェイズの好成績と共に観客動員も絶好調だった。以降、開閉式ドームのノウハウは福岡ドーム等に脈々と受け継がれていく。ただし建造物として一見の価値はあるものの、空前のネオクラッシックブーム前夜に建てられた為、当時最新鋭のデザインも20数年経った今にはちと古く感じられてしまう所はやむを得ない。そういえば松井秀喜がメジャーデビューを飾ったのもこの球場。
元々は「スカイ・ドーム」という愛称で親しまれていたが、2004年に通信大手のロジャース社に球場が買収されるとともに、名称も「ロジャース・センター」に改名。センターの綴りが”Center”ではなく、敢えて”Centre”と言うところがカナダらしくブリティッシュ流。球場にはホテルが併設されており、現役時代にロベルト・アロマーが住んでいた事で有名。試合中、窓際で淫らな行為をすると即退場になるので要注意。近年天然芝に貼り替えられるという噂があるが、真相はいかに!?
圏外/トロピカーナ・フィールド
- ホーム :タンパベイ・レイズ
- オープン:1990年
- デザイン:HOK Sport(現Populous)
- 収容人数:42,735人
ココも密かなるHOK作品だが(ブレイク前の)、元々は野球専用球場として建てられたわけではなく、当初はアリーナフットボールや、アイスホッケー場として利用されていた。恐らくメジャーリーグで最後となるであろう人工芝&密封式ドーム球場である。90年代初頭からマリナーズ、ホワイトソックス、ジャイアンツの球団誘致にことごとく失敗し、98年のエクスパンションでようやくデビルレイズ(現レイズ)のフランチャイズとして落ち着いたのは、開場から8年後のこと。
プレーオフでも空席が目立つのは一概に球場のせいだけとは言えないが、ココを脱出することによって何かが変わることは間違いなさそうだ。数年前にはセントピーターズバーグのマリーナ沿いに新球場の建設予定と設計図まで出来あがってたのに、いつのまにかプロジェクトはとん挫。
唯一この球場で面白いのは、内野の人工芝以外の部分にはきちんと本物の土を入れている点。人工芝球場のせめてものエクスキューズを大いに感じる。ナゴヤドームや横浜スタジアムのようなオレンジ色の人工芝を内野に敷いた「ボールパーク風」の安っぽい演出よりはまだマシか。
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